診療科・部門のご紹介

診療科・医師のご紹介

循環器内科

当院循環器内科で実施している検査・治療方法の詳しい説明

トレッドミル負荷心電図検査

心電図と血圧を計測しながら、速さと傾斜が徐々に増していくベルトコンベアーの上を歩きます。心電図や血圧に明らかな異常が見られたり、胸痛や胸部圧迫感があったり、足の疲れなどで運動を続けることができなくなるまで歩いて頂き、運動中・運動後の心電図や血圧の変化を記録します。この検査を行うことで、運動負荷で誘発される労作性狭心症や不整脈が検出可能となります。検査時間は約30分です。歩きやすい服装でお越しください。

トレッドミル負荷心電図検査

心肺運動負荷試験(CPX)

トレッドミル負荷心電図検査と同様に心電図や血圧計を装着しながらベルトコンベアーの上を歩いて検査を行いますが、顔に密着するマスクをつけていただき運動中・運動後の呼気中の酸素や二酸化炭素の濃度を計測します。この検査を行うことで、どの程度の運動まで酸素を効率よく使えるかが分かります。また、心臓リハビリテーションの際にどれ位の強さの運動をどれだけの時間行えばよいかの運動処方を決定することが出来ます。

心肺運動負荷試験(CPX)

ホルター心電図

ホルター心電図は24時間携帯型の心電図です。睡眠中を含む日常生活中の心電図波形を24時間連続で記録します。不整脈や狭心症の診断や重症度を調べるために行い、自覚症状のない発作の心電図変化も捉えることができます。胸に5つの電極をテープで貼り付け、ICメモリーを内蔵した小型の記録器を腰につけて普段通りの生活をしていただきます。ただし、装着中に入浴は出来ません。何か症状がありましたら記録器のボタンを押して行動記録用紙に症状のあった時刻や内容を記録してください。検査時間は約24時間で、解析結果は1 - 3日後にわかります。

ホルター心電図

ループレコーダー

植込型ループレコーダーとは、失神の原因を特定するための体内植え込み型機器です。大きさは手のひらにのる程度(約60mm×20mm×8mm)であり、心臓を24時間モニタリングし、不整脈や失神時の心電図を記録します。植え込む場所は胸の皮膚を2cm程切開し,機器を植え込みます。この手術時間は30分程度であり、比較的簡単な手術となります。植え込みから長期間(最大3年)の心電図を連続モニタリングすることが可能で、失神が起きた時の心電図を記録する手段となり、いつ起こるかわからない頻度の少ない失神の原因も特定することが可能となります。

ホルター心電図は低侵襲であり頻回な失神・失神前の症状(週1回以上)がある場合は非常に有用です。発作の頻度が少ない場合や不定期な場合は、侵襲的ではありますがループレコーダーが有用です。患者様の症状に合わせてどちらの機器にするか選択することが可能です。

ループレコーダー

携帯型24時間血圧計

ホルター心電図と同様に胸に電極をテープで貼り付けるとともに、上腕に血圧測定用のカフを巻きつけ、30-60分毎に自動的に血圧を測定し記録します。携帯型24時間血圧計を使用することで、家庭での1日数回の血圧測定や診察室での血圧測定よりも詳細な評価が可能となり、患者さん固有の血圧変動を反映した心血管障害の予測が行えます。また、睡眠中や起床時を含めた一日の血圧値とその変動をとらえることで、血圧の変動とそのパターンを認識し、高血圧治療をより安全かつ効果的に行うことができます。

結果に関しては、血圧値は数分でわかりますが、心電図を含む解析結果は数日後となります。

携帯型24時間血圧計

四肢血圧脈波測定(Pulse wave velocity; PWV)
足関節上腕血圧比測定(Ankle brachial index;ABI)

ABI は閉塞性動脈硬化症の診断や加齢・高血圧・脂質代謝異常症・糖尿病・肥満などによる動脈硬化の指標として有用です。

仰向けに寝た姿勢で四肢の血圧と脈波を同時に測定して、脈波が血管内を伝わる速度をみることで、下肢の血管の詰まり(ABI)や動脈硬化の程度(PWV)を算出します。

通常は寝た状態で両腕、両足首の血圧を測定すると、足首の方がやや高い値になります。ところが血管が詰まり気味になると、その部分の血圧は低くなり、足首の血圧と腕の血圧の比を求めれば血管の詰まり具合を知ることができます。ABI が0.9未満となる脚があれば、その脚の動脈が詰まり気味である(動脈硬化の疑いがある)ことを表しています。

四肢血圧脈波測定

皮膚潅流圧(Skin perfusion pressure;SPP)

皮膚潅流圧は、CLI(重症虚血肢)のアセスメント、難治性潰瘍の治癒予測、四肢切断レベルの判定に重要な指標となります。約10分間安静に保ち、仰臥位にて下肢の一部(足趾、中足など)にレーザーセンサ及びカフを装着します。カフを加圧し、皮膚微小循環を途絶させます。カフの圧を徐々に下げ、皮膚微小循環が回復(再灌流)した時のカフ圧を皮膚灌流圧と決定します。

現在、SPP < 30 mmHg の場合は重症虚血肢、SPP ≧ 40 mmHg であれば 潰瘍治癒の可能性が高いと考えられています。

皮膚灌流圧・Tissue Oxymeter

Tissue Oximeter 〜組織酸素飽和度(StO₂)測定〜

組織酸素飽和度(StO₂)は、CLI(重症虚血肢)のアセスメント、難治性潰瘍の治癒予測、四肢切断レベルの判定に重要な指標となります。足関節上腕血圧比(ABI)・ 皮膚灌流圧(SPP)などは、主に1点計測であるため足部全体の血流を反映しにくいです。一方、Tissue Oximeterは短時間計測が可能(1点20秒以下) であるため、多数無作為の測定箇所で組織酸素飽和度を評価し、虚血部位と血管の責任病変を推測することが可能となります。さらに、他機器の測定のようにカフ圧を利用しないので、非侵襲的で全く疼痛を伴いません。

2つのレーザー光源より690nmと830nm波長の近赤外線をセンサ直下10mmの深さまで透過させ、その一部の反射散乱光をセンサにある4つの探知器で収集します。 生体組織局所にある動脈・静脈・毛細血管中のオキシヘモグロビン(HbO2・酸化型血色素)とデオキシヘモグロビン(Hb・還元型血色素)の独特な吸収スペクトル比例により、吸収係数と分散係数を算出し、 深さ3~5mmの組織血液酸素飽和度(StO2)を計測します。

Tissue Oximeter 〜組織酸素飽和度(StO₂)測定〜

経胸壁心エコー図

2cm×3cmの超音波発生端子(探触子)にゼリーを塗って胸部に密着させると、探触子から出た超音波(人間の耳には聞えない高い周波数の音波)が体内にある心臓や血液などに当たって反射され再び探触子に返ってきます。超音波を反射した物の位置や動きをリアルタイムな動画としてカラー表示することで、心臓や血管の形態や動き、中を流れる血液の様子などを詳細に観察し記録します。

虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)や弁膜症、各種の心筋症、先天性心疾患、心臓腫瘍などの診断や重症度判定、心臓内血栓(血液の塊)などの合併症の診断に非常に有用です。体には無害で短時間に多くの情報を得られ比較的経済的な検査ですので、治療効果を判定したり手術時期を見極めたりするために定期的に繰り返して行うことがあります。検査時間は10-15分です。

経胸壁心エコー図

経食道心エコー図

先端部に探触子を埋め込んだ胃カメラのようなファイバーを飲んで頂き、心臓のすぐ背側にある食道から心臓を観察する超音波検査です。皮下脂肪や肺などが邪魔をしないので経胸壁心エコ-図よりも鮮明な画像が得られます。心臓内の血栓(脳梗塞の原因にもなる血の塊)や弁膜症、心内膜炎、心房中隔欠損・開存、上行大動脈の解離(急性大動脈解離)などを観察するのに特に有用です。検査時間は咽頭麻酔を含めて10-15分です。終了後1時間(咽頭麻酔が切れるまで)は飲食できません。

経食道心エコー図

ポリソムノグラフィー

当科では木曜日午前に睡眠時無呼吸専門外来を開いています。外来で夜間の動脈血酸素飽和度を測定する簡易型検査を行って睡眠時無呼吸症候群が疑われた患者様には、一泊二日で入院精密検査ポリソムノグラフィを受けていただきます。この検査は睡眠脳波、眼球運動、筋電図、心電図、胸腹部呼吸運動、呼吸気流、経皮的動脈血酸素飽和度、体位、いびき音などを同時に測定することで、以下のようなことが正確に診断できます。

  1. 無呼吸のタイプが、脳から呼吸命令が出されない中枢型なのか、上気道の閉塞が原因で起こる閉塞型であるのか、それらの混合型なのかを知ることができる。
  2. いつからいつまで眠っていたかが脳波から判断でき、簡易型より正確な無呼吸や低呼吸の重症度(睡眠1時間当たりの無呼吸低呼吸の数)を知ることができる。
  3. 睡眠深度のパターンから睡眠障害の有無を知ることができ、日中の眠気などの自覚症状と無呼吸との因果関係を推測することができる。
  4. 診断検査との比較から、何らかの治療を行った場合の効果が判定できる。

入院は同室者の影響を避けるため、原則個室で検査を行っています。当日午後から入院して、病気や検査についてのオリエンテーションを受けていただいた後、夜間に検査を行います。検査中も室内歩行ができる新しい検査機器を使用しています。翌朝は午前中に退院できます。

ポリソムノグラフィー

心臓CT

冠動脈病変や先天性心奇形などの評価に用いる画像検査です。造影剤を使用しますが、非侵襲的検査なので日帰りで検査可能です。高度石灰化や金属ステント留置後の冠動脈病変では、アーチファクトの影響により血管病変の評価が難しいことがあります。先天性心奇形の精査の場合、当院では必要に応じて得られた画像を立体的に再構成し、解剖学的構造の理解や治療に役立てております。

心臓CT

成人先天性心疾患症例です。カテーテル検査や心臓超音波検査でも解剖構造の詳細は明らかに出来ませんでしたが、CTによって詳細評価が可能となりました。

心臓核医学検査:心筋シンチグラフィー

心臓核医学検査は、短時間で体内から消失する安全な放射性物質を注射し、心臓の筋肉(心筋)に取り込まれていく様子を体の表面から撮影してコンピューター処理を行います。放射性物質の種類によって、心筋の血のめぐり(心筋血流)や動き(壁運動)、活動性(脂肪酸代謝)、心臓交感神経の状態などを三次元表示することができます。

心筋シンチグラフィーは狭心症など虚血性心疾患の心筋虚血評価に使用されることが多く、当院でも運動負荷・薬物負荷心筋シンチグラフィの検査を多く実施しています。運動負荷心筋シンチグラフィはエルゴメーター(自転車)をこいで頂いたあと、運動直後と3時間後の2回撮影をして運動時と安静時の心筋血流分布を比較します。薬物負荷心筋シンチグラフィーは冠動脈を拡張する薬剤を前腕皮静脈より注入し運動時と類似の状態を作り、運動負荷の時と同様、注入直後と3時間後の2回撮影を行い、冠動脈拡張状態と安静時の心筋血流の比較を行います。一回の撮影時間はいずれの場合も約20分で、仰向けに寝た姿勢で実施します。

他にもBMIPPシンチグラフィーや肺血流シンチグラフィーなど様々な検査があります。詳細は主治医に確認してください。

心臓核医学検査:心筋シンチグラフィー

心臓カテーテル検査

当院では、心臓専用の血管造影装置 (PHILIPS FD10; 写真左) 1台と、下肢血管や頭部腹部にも使用する汎用機の血管造影装置 (PHILIPS FD20; 写真右) 2台を用いて、待機例、緊急例、治療例をあわせて年間1000例以上の冠動脈造影検査 (CAG) および下肢動脈造影検査等を施行しています。CAG施行の際、必要であれば左室造影、冠攣縮誘発試験、FFR測定、右心カテーテル検査、心筋生検等も追加して施行しています。とはいえCAGが施行されるのは冠動脈疾患を疑った患者さんのごく一部であり、安定されている患者さんにはまずは心電図、心臓超音波検査に加えて冠動脈CTや負荷心筋シンチグラフィを施行し、臨床経過ならびに上記の諸検査の結果をもとにCAGの必要性を十分に検討してから、患者さんにCAGをお勧めしています。CAG施行の際は、極力患者さんの負担が少ない手首の血管から局所麻酔下にアプローチし、細い管 (カテーテル) を上肢の動脈から大動脈を経て冠動脈の入口部まで進めて冠動脈内に造影剤を適宜注入、造影された冠動脈を動画として記録します。丁寧なカテーテル操作はもちろんのこと、造影剤腎症の予防、穿刺部のケア等にも十分留意しております。CAGは20-30分ほどで終了し、穿刺部が手首の血管の場合は検査後の安静は原則不要です。

心臓カテーテル検査

血管内エコー検査(IVUS)・光干渉断層撮影(OFDI)

血管内エコー検査(IVUS)

血管内エコー検査(Intravascular Ultrasound; IVUS)は冠動脈内イメージング装置の一種です。検査用カテーテルを直接冠動脈内に挿入し、超音波を用いて冠動脈を断面として描出します。IVUSを用いることで、血管径のみならず冠動脈狭窄病変のプラーク量や性状を評価することが可能となり、これらの情報を参考に適切な治療法を選択します。

血管内エコー検査(IVUS)

光干渉断層撮影(OFDI)

光干渉断層撮影(Optical Frequency Domain Imaging; OFDI)も冠動脈内イメージング装置の一種です。検査用カテーテルを直接冠動脈内に挿入し、近赤外線光を用いて冠動脈を断面として描出します。OFDIを用いることで、極めて高解像度かつ明瞭なプラーク性状評価や血管内腔境界・ステント圧着状態などが観察可能となります。また3D画像再構築によるステント留置評価も可能です。

光干渉断層撮影(OFDI)

冠動脈内圧測定・冠血流予備量比(Fractional flow reserve; FFR)

FFRは心外膜冠動脈病変の狭窄重症度を判断する生理学的な指標です。冠動脈造影検査(CAG)や血管内超音波(IVUS)によって気づかれない病変や、正しく評価されなかった虚血を誘発する病変を正確に評価する事が出来る為、治療の必要性の判断、治療成績の向上や治療における危険性の低下が見込めます。

FFRとは「Fractional Flow Reserve」の略で日本語では「部分血流予備量比」となります。定義は、病変がないと仮定した血管の最大拡張時の血流量に対する病変存在下の最大拡張時の血流量の比となります。 FFRは図で示しているとおり狭窄部遠位部の冠内圧を大動脈圧で割った値で示されます。本来、FFRは狭窄がないと仮定した健常血管圧で狭窄部遠位部圧を割った値となります。そこで、健常血管圧を大動脈圧で代用し、さらに大動脈圧をガイディングカテーテルのカテ先圧で代用します。結果、①PressureWire圧を②カテ先圧で割った値にて測定されることになります。当院ではFFR値が0.80以下の場合に病変を有意狭窄とし治療対象としております。

冠動脈内圧測定(FFR/iFR)

経皮的冠動脈形成術 (Percutaneous Coronary Intervention, PCI)

心臓はポンプの役目を果たすため、休むことなく心臓の筋肉が収縮、拡張を繰り返していますが、この筋肉に酸素や栄養分を供給する血管を冠動脈といいます。本治療は、動脈硬化で狭窄や閉塞している冠動脈の内腔(血液の流れるスペ-ス)を、カテーテルよばれる細い器材を用いて拡張したり開通させたりする方法です。当院では、心臓カテーテル検査と同様に24時間365日いつでも迅速かつ適切な経皮的冠動脈形成術が行える体制を整えています。

治療には、通常バルーン(風船)やステント(メッシュ状またはコイル状の円筒形の金属)といった動脈硬化病変を拡張するカテーテルを使用しますが、その他に、冠動脈内に存在する血栓を吸引するカテーテルや、先端にダイヤモンド顆粒を埋め込んだドリルを高速で回転させて非常に硬い動脈硬化病変を削るロータブレ-タ-を用いることがあります。カテーテルを体内に入れていく部位としては、動脈硬化病変の形状や治療方法によって異なりますが、可能な限り体への侵襲が少なく、治療後の安静を必要としない手首の動脈から治療を行っています。

最近では、表面に塗布した薬剤がゆっくりと周囲に溶け出して、再度治療した場所に動脈硬化が進行して狭窄する現象(再狭窄)を起こしにくくするバルーンやステントが使用可能となり、従来の器材と比較して再狭窄や再治療の頻度がかなり低減しています(5-10%)。退院後は内服薬による治療を続けていただき、3~9ヶ月後に再狭窄していないかを確認するために心臓カテーテル検査を行います。

a)バルーンやステントによる拡張

1)動脈硬化による狭窄や閉塞部位に細いワイヤ-を通して、
2)それに沿わせて先端にバル-ン(風船)を付けたカテ-テルを挿入

3)バルーンを病変部で膨らませて冠動脈内腔を外に向けて押し広げ、バルーンとワイヤ-を抜去します。

4)必要があれば、ステントを折りたたんで乗せたバルーンを病変部で膨らませ、冠動脈の内側から壁に向かってステントをしっかりと押し広げて内腔を確保し、バルーンとワイヤーを抜去します。

留置したステントは、数週から数カ月かけて血管を内張りしている細胞(血管内皮)に覆われて壁内に埋没します。

b)ロータブレーター

冠動脈の動脈硬化病変が強い石灰化によって石のように硬くなり、バルーンやステントでは十分な拡張が期待できない場合などに行われます。中心に特殊なワイヤ-を通した直径1.25-2.5mmのドングリ状の高速回転式ドリルの先端部分にはダイアモンド顆粒が埋め込まれていて、このドリルが1分間に約20万回転して硬い病変部のみを選択的に削って赤血球より細かい屑に粉砕します。

大動脈内バルーンパンピング(IABP)・経皮的心肺補助法(PCPS)

我々は、左主幹部/多枝病変由来の急性心筋梗塞/虚血性心筋症や劇症型心筋炎といった、血行動態の破綻した患者さんに対して、大動脈内バルーンパンピング (IABP: intra-aortic balloon pumping; 写真左) や経皮的心肺補助法 (PCPS: percutaneous cardiopulmonary support; 写真右) といった機械的補助循環装置を積極的に導入し、救命を試みています。当院の強みとして、臨床工学技師 (ME: medical engineer) が24時間在院しており、我々循環器内科医はIABP/PCPSの管理はMEにまかせて、カテーテル治療の手技および患者さんの管理のみに集中できる恵まれた環境にあります。一方、以前の我々の検討では、IABP/PCPSが必要となるような重症の急性心筋梗塞の患者さんにおいては、多枝病変の存在が院内死亡の独立した危険因子となっていました (Circ J 2010;74:1152-1157)。よってそのような患者さんに対しては、心臓血管外科と協議 (heart team conference) の上カテーテル治療の方針となれば、MEのサポートのもと逆行性アプローチ等あらゆる手段を用いて完全血行再建を目指すべく、日々努力しております。

大動脈内バルーンパンピング(IABP)・経皮的心肺補助法(PCPS)

末梢血管形成術

末梢血管拡張術とは、閉塞性動脈硬化症の患者さんに行う血管内治療のことです。末梢血管拡張術で治療される際、まず大腿部から2mm程度の管(シース)を挿入します。次にガイドワイヤーと呼ばれる針金を病変部に通過させます。IVUSと呼ばれる血管内超音波を用いて血管が詰まっている様子を評価する場合もあります。その後、病変部をバルーン(風船)で拡張したり、ステント(金属の筒)を留置します。

末梢血管形成術

閉塞性動脈硬化症の患者様への治療法には
(1)薬物療法
(2)運動療法
(3)末梢血管拡張術
(4)外科的血行再建術があります。
当科は心臓血管外科と密に連携しながら日常診療を実施しており、患者さんの全身状態・血管の状態に合わせて最適な治療法をご提案しております。その中でも末梢血管拡張術は患者さんに早期退院していただける有効な治療法の一つです。当科では2012年より重症虚血肢に対する治療を積極的に実施し、より多くの末梢血管拡張術を実施しております。また、最新の機器(例:CROSSER®)、末梢血管拡張術に最適の血管造影装置を取り揃えております。患者さまに安心して治療を受けていただけます。閉塞性動脈硬化症と診断された患者様はぜひ一度、当科にご相談ください。

振動式末梢血管貫通用カテーテル(CROSSER®)

当院では、関西でいち早く「クロッサーシステム」を導入致しました。このカテーテルは毎秒2万回の振動を病変部に与えることにより、完全閉塞した固い血管にガイドワイヤーを通過させるデバイスです。閉塞性動脈硬化症の患者さんに対して従来の治療法が困難な場合、この「クロッサーシステム」を用いることにより治療の選択を拡げ、安全かつ有効性の高い医療を提供できます。患者さんに痛みを伴うことはございませんので、安心して治療をうけていただけます。他病院で治療困難と言われた方もぜひご相談ください。

振動式末梢血管貫通用カテーテル

下大静脈フィルター

深部静脈血栓症の治療方法のひとつです。「深部静脈血栓症」はエコノミークラス症候群として知られていますが、様々な要因により下肢の太い静脈に血栓が形成される疾患です。深部静脈血栓症は下腿浮腫や疼痛といった症状がありますが、何より怖いのはこの血栓が肺塞栓症の原因になるという事です。「肺塞栓症」とは肺動脈に血栓等の塞栓物質が詰まり肺への血流が閉ざされる疾患です。下肢からの血流は下大静脈から心臓に入りそして肺動脈へと流れて行きますが、下肢の静脈のような太い血管で形成された大きな血栓は広範囲の肺塞栓症を形成し致死的となる可能性があります。

治療の基本は抗凝固療法ですが、必要な場合には下大静脈フィルターを留置します。下大静脈フィルターは図のようなフィルターを下大静脈に置き、下肢からの粗大な血栓をキャッチして肺へ血栓が流れ着くのを予防します。フィルターは永久留置する場合と短期間で再度摘出する場合があります。

留置方法は鼠径部の大腿静脈、もしくは首の内頸静脈部を局所麻酔し、そこからカテーテルという細い管を通し、放射線透視や造影剤を使用して留置部を決定し留置します。所要時間は約20分程度です。詳細は主治医に確認してください。

下大静脈フィルター

心臓リハビリテーション

心大血管疾患(急性心筋梗塞、狭心症、慢性心不全、心大血管疾患術後、閉塞性動脈硬化症)によって低下した身体的・精神的機能をできるだけ回復させて速やかに社会復帰し、疾患の危険性を是正して二次予防に努めることで、これからの生活の質や生命予後を向上させます。運動療法(運動プログラムと運動処方)だけでなく、疾患の理解や生活習慣(喫煙、食事、服薬、心理など)の改善に向けた教育や指導を広く含みます(包括的心臓リハビリテーション)。患者個別の全身状態や生活習慣に応じた内容で、病院のスタッフが協議しながら進めます。運動療法は起立、歩行から始まり、十分に動けるようならエルゴメーターと呼ばれる自転車のペダル踏み運動器を用いて行います。スタッフとして専任の医師、専従の理学療法士、看護師、管理栄養士、薬剤師、心理判定員などの多職種がチームとして介入します。

心臓リハビリテーション

永久ペースメーカー植込術

心臓本来の調律機能が低下(洞不全症候群)したり、心房心室間の伝導路である房室機能が低下(房室ブロック)することで、心臓の収縮が極端に低下し、心不全症状や意識消失を呈することがあります。こういった場合の治療法としてペースメーカー植え込み術があります。ペースメーカーは、植込み型の小さな医療機器で、通常、左または右の鎖骨下の皮下に植え込まれます。ペースメーカーは、金属製のケースに電池と電気回路が内蔵されたもので、心臓の動きを継続的にモニターし、遅い脈拍を検出した場合は、ごく弱い電気刺激を送り、正常な脈拍に戻します。入院は約1週間で、退院後も定期的にペースメーカーチェックを行います。

~条件つきMRI対応ペースメーカー~

MRI装置では非常に大きな磁力を発生させ、ペースメーカーやリードに悪影響を与えるリスクがあることから、これまでペースメーカー植込患者での使用は許可されておりませんでした。 しかし、2012年10月より「条件付きMRI 対応ペースメーカー」が登場し問題は解決されました。元々植込まれているペースメーカーやリードについては残念ながらMRI対応とはなりませんが、新しく条件付きMRI対応ペースメーカー本体とリードの植込を行った方ではMRI撮影が可能となります。MRI撮影時にはペースメーカーの設定変更が必要で、機種により撮影条件が異なりますのでペースメーカー植込を行った病院に相談することが必要です。65歳以上の患者様では整形外科疾患や脳血管疾患を有する場合も多く、条件付きMRI対応ペースメーカーは今後ますます有用となることが想定され、当院でも導入事例が増えております。

永久ペースメーカー植込術