地域がん診療連携拠点病院の役割
当院は、厚生労働省より平成19年1月31日付で「地域がん診療連携拠点病院」の指定を受けました。
地域がん診療連携拠点病院とは、「第3次対がん10ヶ年総合戦略」に基づき、全国どこでも質の高いがん医療を受けることができるよう各都道府県におけるがん診療の連携・支援の拠点となるべく厚生労働省より指定された病院のことです。
また、平成19年10月2日に、日本がん治療認定医機構認定研修施設に認定されました。
わが国のがん対策については、平成16年から開始された「第三次対がん10ヶ年総合戦略」において、がん医療の“均てん化”を図ることが戦略目標として掲げられました。その戦略の一つが、診療連携体制による地域がん診療の質的向上です。各都道府県に「がん診療連携拠点病院(京都府の場合は京都府立医科大学附属病院・京都大学医学部附属病院)」を置き、二次医療圏に概ね1ヶ所程度の「地域がん診療連携拠点病院」を置いて連携体制を充実させることとなり、当院もその1拠点として認可されました。
地域がん診療連携拠点病院の指定要件とは以下のようになります。
- 手術・化学療法・放射線治療・緩和医療・複数科相互診療支援など、がんにおける集学的治療を行う
- 各学会の診療ガイドラインに準ずる標準的治療並びに応用治療を行う
- クリニカルパス(クリティカルパス)の整備
- セカンドオピニオン、施設間連携への対応体制の整備
- 医師・看護師・医療心理に携わる者などを含めたチームによる緩和医療の提供
- 地域の医療機関への診療支援や地域連携クリニカルパスを含めた病病連携・病診連携の体制整備
- 専門的ながん医療に携わる医師・看護師・薬剤師・医療心理に携わる者・診療放射線技師・診療情報管理士などの配置
- 集中治療室・無菌室・放射線治療装置などの設置
- 施設内禁煙の実施
- 主に地域のかかりつけ医を対象とした早期診断、緩和医療等に関する研修
- 専任者を配置した相談支援センターの設置
- 院内がん登録の実施
以上がん診療に関する細かな業務が規定されており、医療連携と情報公開の原則の下にがん診療の質が問われています。
当院の入院がん診療実績は表1.の通りで、前述の両大学に匹敵する多数の症例を扱っています。近年のがん化学療法の進歩は著しく、対象症例は年々増加しています。がん診療の効率化のなかで、最も変化してきたのが化学療法の外来診療への移行です。平成16年3月に外来化学療法室を開設しましたが、外来化学療法室における治療症例は年々増加しております。(化学療法室のページへ)患者さまのQOLを重視した外来化学療法は、化学療法の認定看護師の活躍とも相まって今後ますます増加するものと思われます。平成25年6月から、通院でのがん治療を円滑に行うため、1階外来エリアに通院治療センターを設置しました。
地域がん診療連携拠点病院では、標準的医療を確実に安全に行うことは当然として、さらに応用治療や地域医療の指導までも求められています。私たちは、日々の精進による診療機能の充実とともに、新たな人材の確保・育成にも努力していきたいと考えています。
副院長、がん診療推進室室長 塩飽保博
表1.2019年度 入院がん診療の実績
手術症例数
病名 | 症例数 | |||
---|---|---|---|---|
1 | 大腸癌(結腸、直腸) (外科113例、内視鏡 92例) |
205 | ||
2 | 胃癌(※胃食道接合部癌含む) (外科68例、内視鏡112例) |
180 | ||
3 | 乳癌 | 124 | ||
4 | 子宮癌(頸部、体部) | 112 | ||
5 | 肺癌 (転移性肺癌16例含む) | 108 | ||
6 | 膀胱癌 (外科6例、経尿道的98例) |
104 | ||
7 | 食道癌 (外科12例、内視鏡 65例) |
77 | ||
8 | 肝癌 (転移性肝癌10例含む) |
外科的治療 | 30 | |
内科的治療 | TAE | 87 | ||
PEIT,RFA | 25 | |||
9 | 前立腺癌 | 28 | ||
10 | 腎癌 | 23 |
※上皮内癌の切除も含まれています。
化学療法症例数
病名 | 件数(症例数) | |
---|---|---|
1 | 非ホジキンリンパ腫 | 310 (71) |
2 | 肺癌 | 187 (99) |
3 | 子宮癌(頸部、体部) | 139 (38) |
4 | 乳癌 | 118 (77) |
5 | 骨髄性白血病 | 100 (27) |
6 | 多発性骨髄種 | 78 (28) |
7 | 卵巣癌 | 72 (19) |
8 | 膵癌 | 64 (41) |
9 | 大腸癌(結腸、直腸) | 58 (44) |
10 | 卵管癌 | 44 (9) |