教育研修への取り組み
初期臨床研修について
研修理念
- 医師としての人格を涵養し、将来の専門性にかかわらず医学、医療の社会的ニーズを認識しつつ、日常診療で頻繁に遭遇する病気や病態に適切に対応できるよう、プライマリケアの基本的な診断能力(態度、技能、知識)を身につける。
研修基本方針
- (1)患者・家族の価値観や考えを尊重し、患者にとって最善の医療を行う。
- (2)多職種による協働の重要性を理解し、チーム医療に積極的に参加する。
- (3)医療人としての社会的役割を理解し、地域医療連携に貢献する。
- (4)専門医となる素地として、プライマリケアに必要な基本的知識・技術を習得する。
- (5)最新の知識・技術を習得するために、常に研鑽する姿勢を自らのものとする。
研修医師教育に対する信条
人間を救うのは、人間だ
人間を育てるのも、人間だ
教育なくして、病院の発展なし
当院の初期臨床研修での、5つの約束
1. プライマリケア能力の習得に適した環境があります
- 当院の救命救急外来は、救急車を年間約7,247台(うちヘリ搬送55台)受け入れ、救急患者は一次救急から三次救急まで年間約20,500人以上を受け入れています。基本的にすべての患者の初療は、初期研修医が関わることになります。日々の初期研修の中で、あるいは夜間・休日の副直の中で、Common diseaseから、最重症の救急患者まで幅広く、豊富な症例を経験することができます。それにより、プライマリケアに必要なコミュニケーション・スキル、臨床推論の構築能力、迅速な対応能力を身につけることができます。
2. 高い専門性を有する各診療科による指導が充実しています
- 当院は、救命救急センター、急性期脳卒中センター、腎センター、通院治療センター、消化器センター、心臓センター、リウマチ膠原病センター、緩和ケアセンター、京都府下唯一の総合周産期母子医療センターを擁し、高度専門医療に対応できる病院です。200名を超える経験豊富で高い専門性を持つ常勤医から充実した指導を受けることができ、ともに参加することができます。殆ど全ての疾患を診断から治療まで網羅しており、まさに時代の最先端の医療を体感することができます。
3. 豊富な学習機会・活発な学術活動を提供します
- 当院での初期研修では、on the job trainingと、off the job trainingを適切に組み合わせた育成プロセスを構築することを重要視しております。豊富な症例を見て、その場で学び、Feed backを行うことはもちろん重要ですが、それだけでなく、通常の業務から離れたところで、一般化された技能や知識についての教育を受けることが必要と考えています。
- 毎年、年度末にカンファレンスの全体の振り返りを行い、翌年度のtrainingの方向性を決定しています。ここ数年間で、カンファレンスの数は格段に充実した内容になりました。また、2014年度からは、京都府立医科大学救急科の先生方のご協力の元、ERにおけるon the job〜feed backまでの教育を拡充しております。また、アメリカでのER経験のある救急専門医の先生から、英語での医療面接、英語でのケースプレゼンテーションの指導をしていただけることになりました。
- 現在行っているoff the job training
- 感染症カンファレンス(年間24回)
- 総合診療プラクティス(年間4回)
- ERケースカンファレンス(年間35回)
- 全科Specialistによるレクチャー+実習(年間50回)
- 定期講演会(医療安全、院内感染対策)年間10数回
- 先輩研修医による副直導入オリエンテーション(4月第1週)
- ER症例振り返りカンファレンス(1回/2週)
- 2年間の初期臨床研修の間に、上級医の指導の下、最低1回は各自学会発表を行っていただいております。その発表をもとに、2年次の1月に全診療科の指導医が見守る中、臨床研修報告会(抄録集はこちら(PDF:749KB) )を行っています。
4. 風通しのよい職場環境を提供します
- 後期研修医(専攻医)をはじめとして、当院出身の医師が数多く在籍していることもあり、各診療科の垣根が無いに等しく、気軽に他科へのコンサルテーションが可能で、効率的にストレス少なく研修に取り組むことができます。
- また、研修医ルームは医局と離れた場所にあり、自分のペースで学習したりするのに適しており、またリラックスできる空間となっています。夜遅くまで業務に追われ、疲れ切った時に、同様の境遇の仲間と苦労を共有できる空間があることは、励みにもなりますし、通常の多忙な業務の中での、研修医ルームでのひと時の安息は、非常に大事だと考えています。
5. 病院として研修医師をサポートします
- 当院には2年間の初期研修修了後に、毎年半数以上がそのまま後期研修医として在籍しています。各診療科をローテートする際には、研修医の気持ちを良く理解している彼らが中心となって研修医をサポートします。
- 1年目研修医が、できる限りスムーズに、安心して研修に取り組めるよう、導入時期である4〜5月の副直においては、先輩研修医からマンツーマンの指導を受けられるような体制を整えています。
- 教育研修推進室では、定期的に研修医とミーティングを行い、研修医の要望への対応・研修環境の整備・研修医の声を反映した細かなプログラム改善活動を行っています。研修医の学習効果・学習意欲を高めることを大事にしています。
研修風景
静脈注射実習
縫合実習
臨床研修報告会
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臨床研修報告会
-
感染症カンファレンス
修了証授与式
先輩からのメッセージ
外科コース(令和3年度修了)

初めまして。外科コースで初期研修中の河村と申します。当院での研修の魅力を説明させていただきます。
まずひとつめは症例の豊富さです。当院は3次救急病院であり重症患者さんを診る機会に恵まれていると同時に、特に救急外来では様々な主訴の様々な患者さんを診ることになります。そのため思考と経験の両方の機会を得ることができます。
次に、教育熱心な先生方です。各科の先生方は各々の仕事だけでなく教育にも熱心であり、興味を持って関わるといくらでも教えていただけます。また、救急や感染症、その他各科の講義も充実しています。
最後に、同期の存在です。私自身、京都出身でも京都府立医大出身でもなかったため不安でしたが、ここには様々な場所の様々な大学から熱意を持った研修医が集まってきます。そのような同期と励ましあい、時に慰めあいながら研修生活を送れることは、なによりの財産だと思います。
当院の研修に興味のある方は、遠慮せず、ぜひ一度病院見学にいらしてください。
小児成育コース(令和3年度修了)

初めまして。当院の魅力について二点お伝えできたらと思います。
まず一点目は症例の多さです。
NICUがあり、総合周産期母子医療センターである当院ではハイリスク症例を含む母体搬送や新生児搬送を多く受け入れており、貴重な症例をたくさん経験することができます。小児科、新生児科、産婦人科志望のいずれを志望される方にとっても理想的な環境が整っていると思います。
また、当院にはほぼ全ての診療科があり、教育熱心な先生方が多くいらっしゃいます。どの科をローテートしても先生が熱心にサポートして下さいますし、研修医向けのレクチャーも沢山あります。
そして、当院は三次救急病院であり、walk-inからドクターヘリまで、また、軽症から重症まで、様々な症例を経験することができます。
二点目は同期の存在です。勉強熱心な同期が多く、切磋琢磨し合いながら、みんなで仲良く研修生活を送っています。
当院に興味をお持ちの方は是非一度見学にいらして下さい。
内科コース(令和3年度修了)

初めまして、総合内科コースの植山です。当院の魅力について簡単にお話させていただきたいと思います。
当院の一番の強みは研修医に対する教育体制が充実している点だと思います。当院ではレクチャーが週3回程あり、また各科のローテでも熱心に指導して下さる先生が多い印象です。病院全体で研修医を育てようとして下さっている雰囲気があるので非常に良い環境だと思います。
また、当院は病床数600床を超える高度急性期病院であり、三次救急を含めた様々な症例を経験できます。座学も重要ですが、実際に多くの症例を経験できることは何より重要であると思います。
そして最後に、共に刺激し合える仲間が多くいるのも魅力です。同期はたすき組も合わせると20人近くいます。いつも研修医ルームで他愛のない会話をしていますが、全体的に学習意欲のある人が多く、楽しんで研修をしている人が多い印象です。
ぜひ見学にきて、病院の雰囲気を感じていただければと思います。
研修医師採用試験の応募者数実績
コース名 | 定員 | R2年度採用 | 定員 | R3年度採用 | 定員 | R4年度採用 | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
応募 者数 |
倍率 | 応募 者数 |
倍率 | 応募 者数 |
倍率 | ||||
総合診療内科 コース |
7 | 16 | 2.3 | 7 | 24 | 3.4 | 7 | 23 | 3.3 |
小児成育 コース |
3 | 5 | 1.7 | 3 | 7 | 2.3 | 3 | 8 | 2.7 |
総合診療外科 コース |
4 | 10 | 2.5 | 4 | 9 | 2.3 | 4 | 13 | 3.3 |
平成30年度 男性5名 女性8名
京都府立医科大学、大阪医科大学、神戸大学、岡山大学、滋賀医科大学
平成31年度 男性9名 女性3名
京都府立医科大学、旭川医科大学、神戸大学、徳島大学、福井大学、和歌山県立医科大学
令和2年度 男性9名 女性5名
京都府立医科大学、奈良県立医科大学、大阪医科大学、滋賀医科大学、東邦大学、名古屋大学、兵庫医科大学、和歌山県立医科大学
令和3年度 男性10名 女性4名
京都府立医科大学、福井大学、大阪医科大学、岐阜大学、滋賀医科大学、鳥取大学
令和4年度 男性9名 女性5名
京都府立医科大学、岡山大学、関西医科大学、岐阜大学、徳島大学、鳥取大学、弘前大学
初期臨床研修各コースの特徴と研修例
コースに共通する基本的な考え方
- 1年次は必修科目、選択必修科目を中心にローテートし、行動目標達成のため幅広く知識技能および医療人としての態度を学ぶ。
- 2年次はコース別に専門性を加味しているが、できるだけ選択期間を設けており、専門医を養成するプログラムでなく、個々のニーズに応じ幅広い研修ができることを目指している。
- ※ローテート可能な診療科一覧
リウマチ内科、糖尿病・内分泌内科、血液内科、消化器内科、循環器内科、脳神経・脳卒中科、呼吸器内科、腎臓内科・腎不全科、消化器外科、乳腺外科、小児外科、呼吸器外科、形成外科、心臓血管外科、整形外科、脳神経外科、小児科、新生児科(NICU)、産婦人科、耳鼻咽喉科、眼科、皮膚科、泌尿器科、精神科、放射線診断科、放射線治療科、麻酔科、救急科、ICU、健診部、リハビリテーション科、病理診断科
(A)総合診療内科コース
【備考】
- ・研修開始から2年次2ヶ月目までは、内科・救急科・麻酔科・外科をローテートして研修を行う
- ・一般外来研修は、内科・小児科・地域医療ローテート中に並行して行う
- ・選択科目は全科を対象に6ヶ月
- ・救急は1ヶ月分を救急当直研修にて補う
(B)小児・成育医療コース
【備考】
- ・研修開始から2年次2ヶ月目までは、内科・救急科・麻酔科・外科・小児科・産婦人科をローテートして研修を行う
- ・一般外来研修は、内科・小児科・地域医療ローテート中に並行して行う
- ・選択科目は小児・成育系(小児科、産婦人科、新生児科(NICU))を対象に2ヶ月、全科を対象に6ヶ月
- ・救急は1ヶ月分を救急当直研修にて補う
(C)総合診療外科コース
今年度(平成30年)より刷新!チューター制度の運用も開始!!!
外科系各科を選択した場合の到達可能な臨床レベル及び、研修修了後の進路について
【備考】
- ・研修開始から2年次2ヶ月目までは、内科・救急科・麻酔科・外科・外科系をローテートして研修を行う
- ・一般外来研修は、内科・小児科・地域医療ローテート中に並行して行う
- ・選択科目は全科を対象に6ヶ月
- ・研修開始から2年次9月までチューター制度を利用した外科系研修システムを併用
- ・救急は1ヶ月分を救急当直研修にて補う
研修修了後の進路
数多くの先輩方が、当院を後期研修の場として選び、活躍しています!!
指導医の声
JCEP受審
卒後臨床研修評価機構(JCEP)による第三者評価受審の報告
当院は、医師の臨床研修指定病院として今後求められるNPO法人卒後臨床研修評価機(略称JCEP)による第三者評価を受審し、
協力研修施設の先生方のご協力をいただき、令和4年3月1日付で認定を受けました。
当院では今回の受審の準備の中で「初期臨床研修プログラム」を大きく改訂し、「臨床研修の手引き」を新規作成して研修システムの整理と明文化を行い
、指導医や指導者の役割や位置づけを明確にしました。また、研修医の評価方法もWEBシステムを取り入れて整備しました。
これまで、独自にレベルアップしてきた初期研修システムを全国標準の形式に合わせ、さらに一歩改善することができたと思っています。
一方で、「インシデント・レポート記載」など医療安全教育への取り組み、「一般外来研修」や「研修医のサポート体制」の一層の充実、
「研修修了者への配慮」や「臨床研修指導医のより積極的な育成」などの課題も明らかになりました。
今後も、病院が一丸となって、臨床研修のさらなるレベルアップに取り組んでいきます。
参考
専門研修について
2022年内科専門研修プログラム、救急科専門研修プログラムの募集を開始いたします。
詳細は【内科専門研修プログラム募集要項・救急科専門研修プログラム募集要項】をご確認ください。
2022年度の研修プログラム