リウマチ内科
当科は関節リウマチ、膠原病など免疫関連の内科疾患の診療を担当します。
スタッフ

役職 | リウマチ内科 部長 (副院長) (リウマチ ・ 膠原病センター長) |
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氏名 | 福田 亙 |
卒業年 | 昭和58年 |
専門領域 | リウマチ、膠原病、総合内科 |
認定医・専門等資格名 | 日本内科学会認定医、指導医、日本リウマチ学会専門医、指導医、評議員、リウマチ財団登録医、京都府立医科大学臨床教授 |
コメント | 京都府立医科大学免疫内科臨床教授。1983年宮崎医科大学卒業、専門領域はリウマチ・膠原病内科。ただし、血液内科・理学療法科や地域医療などの多彩な診療経験を生かし、全身疾患としての生活習慣病や原因不明の発熱など内科全般に対する診療にもあたっています。当科が京都府南部のリウマチ・膠原病診療施設の中核として発展し、患者さまの支えとなれるよう力を尽くします |
役職 | 副部長 |
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氏名 | 角谷 昌俊 |
卒業年 | 平成13年 |
専門領域 | リウマチ・膠原病 呼吸器 |
認定医・専門等資格名 | 日本内科学会指導医、総合内科専門医、認定内科医、 日本リウマチ学会専門医 リウマチ財団登録医 |

役職 | 医長 |
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氏名 | 礒田 有 |
卒業年 | 平成22年 |
診察担当表
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
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一診⑧(予約) | 角谷 | 福田 | 角谷 | ||
二診⑨(予約/新患) | 礒田 | 福田 | 角谷 | 礒田 | 柳田 |
診療方針
当科は、免疫異常によって関節や内臓の障害がおこる関節リウマチ・膠原病など、慢性の難治性内科疾患を対象とした診療を行います。そのため、以下の3点を特に重視しています。
- 患者さまとのコミュニケーションを大切にし、長く良好な信頼関係を築けるよう努力します。
- 地域包括ケアシステムの一員として近隣の医療機関・医師会との緊密な医療連携を進め、患者さまの状態や生活環境に応じて継続しやすい治療環境を提供します。
- 妊娠・出産を希望される方や高齢の患者様など、多様なライフステージにあった専門性の高い入院・外来医療を実践します。
- 進歩する医療技術や薬剤を用いた最先端の医療を、必要な患者さまに安全に行える環境を整え、研修・臨床研究を通じて、さらなる医療の発展に寄与できるよう努めます。
診療実績
2022年12月時点で、関節リウマチを含む膠原病またはその類縁疾患の当科(一部総合内科外来)通院患者数は2048名(当院リウマチ・膠原病データベース2021)で、そのうち関節リウマチが1136名、そのほかの膠原病が912名おられます。病名の内訳は表1のようになっており、2022年度はリウマチ専門医4名(総合内科1名を含む)と内科専門医1名で外来・入院治療を行っています。関節リウマチに対して生物学的製剤か分子標的抗リウマチ薬による治療中の患者さんは現在325名おられ(図1)、関節リウマチ患者さんの50.5%で臨床的寛解(DAS28寛解基準)を達成しています(図2)。また、リウマチ・膠原病治療では感染症・薬剤の副作用など、治療開始後の管理が非常に重要です。当院ではリウマチ・膠原病センターとして当科、整形外科、呼吸器内科、皮膚科、腎臓内科、リハビリテーション科の各診療科や看護師・薬剤師・理学療法師などの多職種と協力して、総合的に質の高い診療にあたっています。
「リウマチ教室」「膠原病教室」(2-3回/年)などを、積極的に開催し、患者さまに疾患や治療を理解していただことを重視しておりますが、2020年度以降は新型コロナウイルス感染症流行による、集会自粛の影響で現在は休止中です。
当科では今後も近隣の医療機関と積極的な医療連携を行い、ご紹介いただいた患者さまの入院治療などについて質の高い医療を提供するとともに、安定した患者さんの逆紹介にも力をいれています。
【表1】膠原病・リウマチ外来疾患別通院患者数(2021年12月)
病名 | 患者数 | ||
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2015 | 2018 | 2021 | |
関節リウマチ | 957 | 1,064 | 1,136 |
全身性エリテマトーデス | 92 | 122 | 133 |
強皮症 | 110 | 153 | 163 |
リウマチ性多発筋痛/RS3PE | 62 | 72 | 92 |
シェーグレン症候群 | 82 | 114 | 163 |
血管炎症候群(ANCA関連) | 60(31) | 97(60) | 114(75) |
脊椎関節症(乾癬性関節炎) | 28 | 33 | 72(26) |
多発筋炎/皮膚筋炎 | 29 | 46 | 60 |
混合性結合織病 | 21 | 26 | 19 |
ベーチェット病 | 16 | 20 | 30 |
成人発症スチル病 | 12 | 10 | 15 |
その他(IgG4関連疾患) | 56(14) | 62(27) | 51(32) |
計 | 1,525 | 1,819 | 2,048 |
【図1】生物学的製剤・JAK阻害剤投与患者数・投与率の推移(2008年―2021年)

【図2】当院関節リウマチ患者における平均DAS28と臨床的寛解達成率の推移(2008年~2021年) DAS28は関節リウマチの疾患活動性を表す総合的な指標です

診療情報 -患者さま向け-
当院では、リウマチ・膠原病センターとして、複数の診療科が協力してリウマチ・膠原病の診療にあたります。関節リウマチの治療においては、薬の処方や日常の検査は当科が担当します。治療の進歩により、薬物療法を主とするリウマチ内科と手術療法を行うリウマチ外科(整形外科)が連携して診療にあたるのです。内臓合併症や薬の副作用にも配慮しつつ、「関節を守り、生活の質を保つために」抗リウマチ薬を基本に、生物学的製剤(インフリキシマブ(レミケード)、エタネルセプト(エンブレル)、アダリムマブ(ヒュミラ)、ゴリムマブ(シンポニー)、セルトリズマブ・ペゴル(シムジア)、トシリズマブ(アクテムラ)、サリルマブ(ケブザラ)、アバタセプト(オレンシア))やJAK阻害薬(トファシチニブ(ゼルヤンツ)、バリシチニブ(オルミエント)、ペフィシチニブ(スマイラフ)、ウパダシチニブ(リンヴォック)、フィルゴチニブ(ジセレカ))などの新しい治療にも積極的に取組んでいます。また、関節リウマチや膠原病は、「難病」「不治の病」といわれてきましたが、薬物治療の進歩した現在では、多くの患者さんにおいて病気をコントロールできるようになり、ほぼ症状のなくなった状態=『寛解』を得ることが可能になりました。当院における関節リウマチの臨床的寛解達成率は、2008年には23.9%でしたが、2021年には50.4%まで向上しています。いっぽうで、患者さんの高齢化が進行して合併症の増加や機能障害の悪化させないためにリハビリテーションや介護職との協働、妊娠や出産を希望される患者さんについては「周産期母子医療センター」との協力、バイオシミラーへの切り替えによる患者さんの経済的な負担を軽減など、多様な社会の変化に全力で取り組んでいます。
当院「リウマチ・膠原病センター」では定期的に、患者さんに向けて「リウマチ教室」「膠原病教室」を開催してまいりました。現在は新型コロナウイルス感染流行のため、見合わせておりますが、その終息を待って再開したいと考えています。当院通院中でなくても参加していただけますので、再開されましたら気軽に参加してください(問い合わせは地域医療連携室まで)。
診療情報 -連携医療機関向け-
関節リウマチ治療はこの今世紀に入って大きく進歩し、治療成績は向上しました。しかし、MTXを代表とする抗リウマチ薬は、効果発現が遅い上にHBV再活性化を含む日和見感染症などの副作用が多く、扱いにくい薬とされています。コントロール不良例での抗リウマチ薬の調整や生物学的製剤・分子標的DMARDs(図1)の導入、高度な関節機能障害例における外科治療や薬剤による合併症への対応、既存肺病変や肝・腎障害例があり治療リスクの高い症例など、当院はすべてに対応できる京都市南部の基幹リウマチ診療施設として近隣の先生方との連携を目指していきます。
RA以外の膠原病では、特にステロイド大量療法や免疫抑制剤・血液浄化療法などが必要な重症例(SLE、強皮症、皮膚筋炎、血管炎症候群など)をご紹介いただくことが増えてきました(表1)。整形外科、皮膚科、腎臓内科、呼吸器内科、リハビリテーション科などの協力を得て、リウマチ・膠原病センターとして集学的に治療成績の向上に取り組んでいます。また、膠原病・リウマチ患者さんでも、きちんとコントロールができていれば、妊娠・出産は可能です。挙児希望があり薬剤選択の難しい患者さまやハイリスク妊娠が予想される患者さまに関しても周産期母子医療センターとの院内連携により、しっかりと妊娠・分娩管理のできる診療体制を作っています。